製造・加工に必要とされる添加物
食品の製造上不可欠なもの、および作業能率を高める目的で使用されるもの


 

豆腐用凝固剤

豆乳を固めて、豆腐を作るときに使う。
「にがり」の成分である塩化マグネシウムや「すまし粉」の成分である硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトンなどを1種類以上含むもの。
昔から豆腐を固めるものとして”にがり”が使われてきた。本来のにがりは海水から塩を作るときの副産物だが、今日では塩化マグネシウムや塩化マグネシウム含有物が通常にがりと呼ばれている。
塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、グルコノデルタラクトンには成分規格があるが、使用基準は無い。 塩化カルシウム、硫酸カルシウムには成分規格、使用基準がある。
 

かんすい

中華麺特有の食感、風味、色調を作り出すアルカリ剤で、ワンタンの皮などにも使用される。
炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸のカリウム塩またはナトリウム塩のうち1種類以上を含むもの。 成分規格は定められているが、使用基準は定められていない。
炭酸化合物が使用されている場合は取りすぎると消化管粘膜への作用が心配され、また、リン酸化合物であれば取りすぎるとリン酸の害が心配される。
以前は国により製品検査が行われていたが、昭和62年に国による検査対象外になり製造業者が自主的に厚生省指定の検査期間で製品検査を受け、日本食品添加物協会が合格認定する自主認定制度が行われている。
 

消泡剤

天ぷら、エビフライ等のフライ工程、豆腐用などの豆乳の蒸煮工程、ジャムなどの濃縮工程、蒸留酒の蒸留工程、発酵食品の発酵工程などで発生する消えにくい泡の消泡に使われる。
シリコーン樹脂が代表的。シリコーン樹脂には成分規格、使用基準が定められている。
ほとんどがキャリーオーバーまたは加工助剤として表示免除されている。
 

抽出溶剤

食品原料から必要な食品成分を抽出するために使用される。
大豆、なたね等からサラダ油等を採油するためのヘキサン、ガラナ豆からガラナ飲料に使用される成分の抽出のために使用されるアセトンなどがある。
加工助剤として表示免除されている。
 

酵素

生体細胞によって生産されるタンパク質で、一般の化学反応とは異なり、特定の物質に温和な条件で反応を行い目的の物質を製造するために使用される。
作用機構から分類すると、加水分解酵素(ハイドラーゼ) 、酸化還元酵素(オキシダーゼ)、 転移酵素(トランスファーゼ) 、異性化酵素(イソメラーゼ)、 その他(リアーゼなど) となり、このうち食品に最も多く使われているのは加水分解酵素である。
酵素はたんぱく質であるため、加熱やpHなどにより変成し、活性を失う。大部分のものは食品の製造加工過程で使われ、最終食品に活性のまま残ると食品成分の分解や変質がすすみ悪影響を及ぼすことがあるので、加工終了時に加熱失活させたり除去されるが、和菓子などの柔らかさを維持するためのβ−アミラーゼのように、最終食品に添加し効果を発揮させる場合もある。
最終食品において効果が残らないものに付いては加工助剤として表示免除されるが、食品の品質保持を目的等で使われ最終食品において効果が持続する場合は、一括名「酵素」と表示されるか、物質名で表示される。
使用食品は畜肉・水産加工品、でんぷん加工品、果汁飲料などが多い。
安全性については研究が少なく不明。
 

pH調整剤

食品のpHを適切な範囲に調整し、食品の変質、変色を防止したり、他の食品添加物の効果を向上させるために使用される。
加工食品の食感や味はpHの微妙な差が大きく影響する。また加熱殺菌の効果や保存性にも影響し、各種添加物の項かを十分に引き出すためにもpH調整は欠かせないものとなっている。
主な添加物としてクエン酸、DL−リンゴ酸などの有機酸類とその有機塩類、炭酸カリウムや炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩類、 リン酸、リン酸水素二ナトリウムなどのリン酸塩類がある。 成分規格は定められているが、使用基準は定められていない。
ちなみにpHとは酸性かアルカリ性かをあらわす単位のこと。pH7が中性で、それより上がアルカリ性、下が酸性。
 

ろ過助剤

食品製造時の精製ろ過に際し、不純物を吸着し、ろ過を効率良く行うために使う。
二酸化ケイ素、カオリン、酸性白土、ケイソウ土、パーライト、ベントナイト、タルクやこれらに類する不溶性の鉱物性物質などがあり、使用基準が定められている。
ろ過助剤は不溶性で、使用後は食品から除去されるので、加工助剤として表示免除されている。
 

酸・アルカリ剤

タンパク質やでんぷんの加水分解やアルカリ性の中和に酸剤が使用され、アルカリ性による剥皮や酸性の中和にアルカリ剤が使用される。
酸剤として塩酸、硫酸、しゅう酸、リン酸などが使用される アルカリ剤として水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等が使用される。 使用基準が定められており、強酸性の塩酸、硫酸、しゅう酸や強アルカリ性の水酸化ナトリウムは、最終食品の完成前に中和または除去することが定められている。
加工助剤として表示は免除されている。
 

結着剤

かまぼこ、ハム、ソーセージや麺類などの組織を改良したり、離液の防止、冷凍変成防止などに使用される。
一般にリン酸塩が使用される。 リン酸塩は水溶性で、pH緩衝作用があり、肉類のタンパク質の溶解度を高め、結着性を良くしたり、冷凍変成を防止する。
使用されたリン酸塩は物質名表示されるが、複数のリン酸塩が使用された場合は「リン酸塩(Na)」などの様に簡略化して表示される。
 

離形剤

パン生地などが機械や焼き型に付着するのを防止するために使用される。
食用油脂を使う場合、流動パラフィンが使われる場合などがある。
加工助剤として表示は免除されている。
 

グレーズ剤

冷凍魚などの体表に密着性が高く保護効果の強い氷の膜を作るために使用される。
増粘剤のキサンタンガム、グァーガム、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが使われる。
氷の膜の物性強化の効果があり、氷の膜によって貯蔵中の魚の重量の減少や酸化を防止する。
加工助剤として表示は免除される。
 


食品添加物の話



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