表示に関する基礎知識
以前は合成品の指定添加物のみが表示されていましたが、1991年以降、食品添加物は、天然であれ、合成であれ、原則として全て表示されるようになりました。
●●● 表示が免除される場合 ●●●
原則的には全て表示されることになっているものの、表示が免除されている場合があります。
以下に該当する場合は、添加物が使用されていても、表示されません。
●加工助剤
食品の製造の際に添加されるが、
のいずれかに該当するものを「加工助剤」と呼びます。
- 最終食品として包装される前に食品から除去されるもの
- 最終食品にごくわずかな量しか残存せず、その食品になんら影響を及ぼさないもの
- 食品中に通常存在する成分に変えられ、食品中に天然に存在する量を有意に増加させないもの
例えば、油脂製造のときに使われる溶剤のヘキサン等が加工助剤になります。
●キャリーオーバー
という全ての条件に該当するものを「キャリーオーバー」と呼びます。
- 原材料に対して食品添加物の使用が認められていて
- その行が原材料に許可されている最大量を超えておらず
- 食品が原材料より持ち越された量より多量の食品添加物を含まず
- 持ち越された食品添加物の量が、食品中で効果を発揮するのに必用な量より有意に少ない場合
キャリーオーバー扱いにするかどうかは食品毎にその該当性が検討されます。
例えば赤く着色したさくらんぼをケーキにのせた場合、着色料は非常に微量ですが、赤い色は良く目立ち、効果を発揮します。そこで、着色料、調味料、香料といった硬化を五感で判断するようなものにはキャリーオーバーは認めないことになっているようです。煎餅の表面に塗る醤油に保存料が入っていても、それによって煎餅の保存性が良くなるわけではないので表示の必要はないけれども、その醤油に調味料が添加されていた場合は、それが煎餅の味に効果を及ぼすので表示の必要があるようです。
●栄養強化剤
製造工程で失われたビタミンやミネラルなどを補ったり、栄養を強化するために、ビタミン類やカルシウム等のミネラル、アミノ酸類が使用されていますが、栄養強化のために添加されるものは食品添加物として取り扱わない国が多く、また、栄養強化食品については「栄養改善法」による表示方法が定められていることもあり、食品添加物としての表示が免除されます。
ただし、例えばビタミンCやビタミンEを酸化防止剤の目的で使用したり、ビタミンB2を着色料として使用した場合は表示が必要です。
●その他の表示免除
食品包装の形状により表示が困難であることなどから
では、表示が免除されています。
- 容器包装の面積が30平方cm以下のもの
- ばら売りのもの
製造業社から仕入れて、お店でパックし直して売るような場合もばら売り扱いになるようです。
●●● 表示の方法 ●●●
●物質名による表示食品添加物は、固有の名称で表示することが原則だが、難解な化学名もあるので、理解しやすいように一般名または慣用名である物質名で表示することになっています。
化学合成品は「食品衛生法施行規則の別表第2」に記載されている名称(別名含む)、天然添加物は「化学合成品以外の食品添加物リスト(以下「天然添加物リスト」と呼ぶ)」に記載されている名称(別名含む)を用いることになっています。
●簡略名や類別名による表示物質名の中には、聞きなれないものや長いものが多いので、以下のような分かりやすい(?)簡略名を使っていいことになっています。
簡略の方法 例 一般に広く使用されている簡略名 アスコルビン酸→ビタミンC
炭酸水素ナトリウム→重曹立体配置記号の省略 D-酒石酸,DL-酒石酸→酒石酸 結晶、無水、乾燥の省略 クエン酸(結晶),クエン酸(無水)→クエン酸 金属イオンの記号化 ソルビン酸カリウム→ソルビン酸K 食品添加物の機能を発揮する部分に着目した簡略表示 黄色4号アルミニウムレーキ→黄色4号または黄4 アルファベットによる表示 ビタミンC→V.C
オルトフェニルフェノール→OPP同種の機能のものを2種類以上併用した場合 ソルビン酸+ソルビン酸カリウム→ソルビン酸(K)
炭酸カルシウム+炭酸カリウム→炭酸(Ca,Na)
ポリリン酸ナトリウム+ピロリン酸四ナトリウム→リン酸塩(Na)「色素」、「抽出物」などの文字の省略 天然添加物で、食品材料と間違われるおそれの無い場合
くちなし黄色素→クチナシ
ステビア抽出物→ステビア類別名による表示 天然添加物で同じグループに属する成分の場合
ぶどう果汁色素やエルダーベリー色素→アントシアニン色素
ビートレッド→野菜色素
●用途名併記による表示以下の8種類については食品を取り扱ったり、選ぶ場合の情報として必要性が高いということで、物質名と用途名を併記することになっています。
用途名 例 備 考 甘味料 甘味料(サッカリンNa) 着色料 着色料(アナトー)
アナトー色素名称に「色」の文字がある場合、用途名の省略可。 保存料 保存料(ソルビン酸(K)) 酸化防止剤 酸化防止剤(BHT) 発色剤 発色剤(亜硝酸Na) 漂白剤 漂白剤(亜硫酸塩) 増粘剤
安定剤
ゲル化剤糊料ゲル化剤(ペクチン)
安定剤(CMC)
糊料(グアーガム)
安定剤(増粘多糖類)
増粘多糖類使用目的にもっとも適した名称を用いる。
天然添加物リストの増粘安定剤の項に記載されている物質を2種類以上併用した場合、一括して「増粘多糖類」でよい。
増粘剤・糊料剤として使用する場合、名称に「増粘」の文字があれば用途名の省略可。防かび剤
(防ばい剤)防かび剤(OPP,TBZ)
●一括名による表示一般に複数の組合せで使われる以下の14種類は「一括名」による表示をしてよいことになっています。
ただし、一括名を使用できる食品添加物の範囲がきまっており、物質の使用目的が一括名の定義に合わない場合は一括名を使用することはできません。
一括名 目的・効果等 イーストフード パン、菓子等の製造工程でイースト菌の働きを活発にするための栄養源。
塩化アンモニウム等の無機塩類を配合した発酵助剤。ガムベース チューインガム特有の噛み心地を出す基材で、最後には吐き捨てられる部分。
植物性樹脂、酢酸ビニル樹脂、ワックス、乳化剤、その他を混ぜたもの。かんすい 中華面製造の際、特有のしこしこした食感と、黄色い色を出すためのアルカリ剤。 香料 食品の風味を増すために広く使用される合成香料、天然香料やこれらを配合した調整香料など。 酸味料 酸味の付与または増強のために使用される酢酸やクエン酸、リンゴ酸などの有機酸類。 調味料 うま味の付与または増強、味質の調整などのために使用される。
味に深みを出すために複数種類が併用されることが多い。以下の4つのグループに大別され、括弧内にグループ名を併記する。
二種以上のグループの調味料が含まれる場合、代表となるグループ名に「等」を付けて表記。
- アミノ酸(昆布の旨味のグルタミン酸等)
- 核酸(鰹節の旨味のイノシン酸、しいたけの旨味のグアニル酸等)
- 有機酸(貝の旨味のコハク酸等)
- 無機塩(食塩の代替になる塩化カリウム等)
調味料(アミノ酸) : アミノ酸系の調味料を使用 調味料(アミノ酸等) : アミノ酸系の調味料とその他のグループの調味料を使用 豆腐用凝固剤
(凝固剤)豆乳を凝固させるために使用する塩化マグネシウムなどの凝固剤。 軟化剤 チューインガムが冬場に固くなるのを防ぐために添加されるグリセリンなど。 乳化剤 マーガリンやアイスクリームなどの水と油の乳化を良くしたり、食品の品質を改良するために使われるレシチンなど。 pH調整剤 食品を適切なpH領域に保つために使用する酸化剤やアルカリ剤。
(かんすいを除く)膨張剤
ベーキングパウダー
ふくらし粉パンや菓子などの製造工程でガスを発生して生地を膨張させ、多孔性にし、触感を向上させる。 光沢剤 チューインガムや錠菓などの表面の艶出しと、内容物保護のために表面に塗られる。 酵素 製造や加工工程で触媒作用を目的として使用し、最終食品においても失活せず効果を有するもの。(失活するものは加工助剤として表示免除される) 苦味料 苦味の付与または増強のために使用するカフェインなど。
たとえば同じビタミンCが添加されていてもというように、表記方法が変わってきます。
- 栄養強化の目的で使った場合は表示免除
- 酸化防止剤として使った場合は「酸化防止剤(ビタミンC)」
- 製パン時に生地の改良目的で使用した場合は「ビタミンC」
ちなみに栄養強化の目的以外で使われているビタミンCには、健康効果は期待できないようですので、念の為。それでも、物質名で書かれていれば、まだ調べようがありますが、類別名や一括名等で表示されてしまうと、何をどう調べて良いかもよく分かりません。例えば「増粘多糖類」とはどういうものか本で調べようと思っても、最初は全然見つけられませんでした。
2種類以上の物質を纏めて表記されている場合、具体的には何を使っているのかが隠れてしまっていて分からないし、なんとなくごまかされたような気になってしまうのは私だけでしょうか・・・?
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